散歩日和

日々のことをつらつら書き連ねる備忘録。

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最近読んだ本。



この夏は読書の夏だった。
まあ、いつも読まないで返しちゃう図書館の本を
真面目に読んだって話なんですけど。

で、すごく面白かったのが三浦しをん/『仏果を得ず』。


主人公は文楽太夫を語る大夫。
伝統芸能の世界が舞台です。
年は30だけども文楽の世界ではまだまだ若いので
ひよっこ扱いされている。
でも文楽に対する思いはとても熱く、文楽以外の事はさっぱりな生活。
そこに現れたひとりの女性に恋をして・・というお話。

各章のテーマが、その大夫(笹本健)が語るお話になっていて
どうしてこの物語の主人公はこんな気持ちになったのだろうとか
掘り下げて行って、自分もどんどん成長していくという。
そこに破天荒な師匠やら、気難しい相方の三味線やらが絡んでくると。

青春小説を読んだような、爽やかな読後感でした。
何かに一生懸命になれるっていうのはほんとすばらしいなと。

あまりにも面白かったから、いつか文庫本を買おうと思ってます。
しかし三浦しをんさんて・・いろんなお話を書く人だなあ。

で、逆にダークでぐったりしたのが角田光代/『森に眠る魚』。


東京の文教地区で子育てしてる五人の母親の話。
早く持ち家が欲しいと、節約に節約を重ねていたら
ある日とあることからマンションを購入することとなった繭子。(ヤンママ風味)
疑い深く、被害妄想気味の容子。(何となく地味な印象)
美人で気立てがよく、派手な印象の千花。
臆病で神経質で、不器用なところがある瞳。(これまた地味な印象)
それから、繭子と同じマンションに住む、ママ友というわけではないけれど
この四人に関係してくるセレブな奥様系のかおり。

繭子とかおりは幼稚園での付き合いはないのだけど
(繭子の子は赤ん坊でかおりの子は小学生)
読んでいて、え、全然違うタイプなのにお友達になっちゃうの?と
思った。
私だったら千花とはお友達にならないなあ・・とか
ちょっとした縁があり繭子とも出会うんだけど
たぶん仲良しになれないだろうなあ・・とか。

で、この5人がお受験を期に、どんどん険悪になってゆく・・という。

私は子供がいなく、ママ友とも一生縁がないのだけど
最後の方なんかは一人一人の気持ちがちょっとずつわかる部分があって
共感しまくりでしたね。
そんな悩んでることはないのだけど、あ、ちょっとわかる、わかるなあって。

実際ママ友がいらっしゃる方は怖い本なのかな。
ダークだけど面白かった。
でも再読はないなあ。。ちょっと怖すぎる。

最後は読むたびに笑っちゃった本。
宮藤官九郎/『俺だって子供だ!』


いつだったか仙台に行った時、ふと立ち読みしてうっかり笑いそうになった本。
おもしろいです。
宮藤官九郎氏の子育てエッセーなんですけど。

『胎児にも名前を!』ってことでかんぱ、と名づけて
お腹の赤ちゃんに呼びかけたり。
そんなかんぱさん、生まれてみたらすごくクールな子だったり。
(病室で奥さんと宮藤さんが話してたらふーん、それで?って顔して見てたとか)
出張中に電話でかんぱさんとお話しようにも、電話じゃ嫌らしく
殆ど喋ってくれず、じゃあ仕事で戻る合間に会いに行こう!って会いに行ったら
おとうしゃんと呼ばれて「あーもう帰りたくねー」と言ったり。
いいなあ、子供産んでみたくなっちゃうなあ、と。
(森に眠る魚読んでたときは子供いなくてよかった・・と思ったんだけど)

なかなか子供が出来なかったから、子供はいいですよ!と押し付ける気はないって
いうのも、いいなあって思いました。
二人暮しもいいじゃないって。
まあそういう知り合い、殆どいないんだけどさ。
ちょっと知り合ったくらいの人ならそういうこと言う時もあるけど。
ちなみに宮藤氏、なんで子供つくらないの?的な質問をされたときは
「愛し合ってるから結構です!」って答えてたそうです。
ある人に、子供がいなくても幸せな夫婦には愛があるから・・みたく
言われたらしく。
そうか、家も愛があるのか。ってことにしておこう(笑)

ちなみにかんぱさんの語録で大好きなのは「もいー」。
もういい、の意。
疲れた感じがグッド。

宮藤氏の文章、読みやすくて大好きなので
『いまなんつった?』も借りたいなあ。ないかなあ。

そういえば最近「いまなんつった?」っていう人と
触れ合うことが多いなあ・・いやだなあ・・
いまなんつった?って聞きたくなっちゃうよー。
聞けないけどね。